本当の殺意ってのはこういうモンだ
21世紀を迎えてからというもの、虚実に関わらず"殺意"ってヤツが目に見えて軽くなってきている気がする。別に殺すコト自体がアウトってワケじゃなくって、じゃんじゃんブッ殺してくれちゃっても構わないんだけど(問題発言)、何というか、殺人とかが大好きな人が見ても全く食指をそそらないような、マーダーケースブックに載せる価値も無い底の浅さが目立つ。
フィクションの世界においても…特にガキがガキを殺す話ってのは、バトロワ以降頻出してきてるし、他にも大した理由も無しに死んだり死なせたり殺ったり殺られたりってのはゲップが出るほど世に溢れている。
サイコホラーとかが流行った頃は「その意味不明なトコが怖い」っつって、恐怖描写のエポックメーキングな演出として重宝されてたけど、それって要するに動機を考えないで済むってコトだし…、もう"理由無き殺人"とか"バーチャル世代"とかそーゆーのはいい加減食傷なんだよ。美人と異常犯罪は三日見りゃ飽きるんだって。と、俺は思ってんだけど。
そんなワケで押切蓮介の『ミスミソウ』一巻を紹介。
- 作者: 押切蓮介
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2008/03/17
- メディア: コミック
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とにかく一話一話もそうだが作品全体の構成が半端無く巧く、主人公が復讐鬼と化すまでの行程は主人公のみならず、読者に「こいつ死ねばいいのに」的な殺意を抱かせ、丁度風船が破裂する瞬間を捉えたようなラスト数ページに粟立たせられる。この次巻への引きは反則だ。絶対気になる。もう二巻を買わざるを得ない。
二巻は"本物の殺意"が"遊び半分の殺意"を駆逐する物語になるだろう。
*1:まぁ、一番ホラーなのは少女向けの漫画雑誌を三十近いオッサン(俺)が立ち読みしてる光景なんだろうが