ロマンティック食堂 尾玉なみえ短編集Ⅰ

ロマンティック食堂 (ヤングジャンプコミックス)
デビュー作の『純情パイン』が連載されていた頃は、まだ学生の身分でして、よく学食に集まってはマンガを回し読みし、作品について色々語り合った時期でもありました。俺と友人のミヤジマ氏は、周囲で評価の芳しくなかった『純情パイン』に対し、共に「面白い」と評価を下した少数派でしたが、一方で「掲載する雑誌を確実に間違えてる」とも判断しました。そして、「ならば、どの辺の雑誌で連載するなら妥当なのか?」と、よく論議を交わしたものです。
実際、その判断が正しかったのか、『純情〜』は見事に打ち切りになり、その後も作品を発表する場を転々としてます。本書はそうした流転と試行錯誤の跡が垣間見えるような短編集でして、作品の初出一覧がビジネスジャンプヤングマガジンなど、バラエティ豊か。よく一つの本に纏まったなってのが主な感想。
内容もバラエティに富んではいますが、特にバイオレンスの匂いがする作品が画とミスマッチで非常に素敵です。
そういや、どこで読んだんだか忘れたけれど、誰かが尾玉漫画を「どの雑誌に行っても7割の読者に嫌われて、残り3割に支持されるタイプの漫画だ」と評してました(本人のインタビューだっけ?)。これは凄く的を得てる評価だと思う。
基本的にチョット歪んでいる人向けのギャグ。俺は好きだが、余りお勧めは出来ない。友人にもだ。まぁ、ミヤジマは買っとけ。