ショーン・オブ・ザ・デッド 雑感

ショーン・オブ・ザ・デッド [DVD]
紹介記事とかを読んで「あ、コレ観てぇな。」と常々思っていながら、いざレンタルビデオ屋に足を運んでみると、その作品のコトをすっかり忘れてて、全く別のどーでもいい映画を借りてしまうというのがよくあります。本作もそんな、「影の薄い映画」の一つ。評判良いのにねぇ…。実際、ビデオスルーにするには余りにも勿体無い出来なのだが、如何せん地味なのが災いしてるね。
『ゾンビ』にあってその他の“亜流ゾンビ映画”に無いものは何か?それは、男の友情だ。無論そんなものが無くたってゾンビ映画は作れるけど、これがあると無いとでは天と地とほどの差がある。
本作はパロディながらもそんなロメロの『ゾンビ』に敬意を払ってか、ちゃんと男の友情を描いている。しかも腐れ縁のボンクラ同士。こんなダメ人間の交流を、リアルダメ人間である俺が受け付けない筈無いじゃないか!そんなワケで、ダメ人間。若しくはダメ人間と腐れ縁を持ってる人間は男泣き必至の佳作です。
ややマザコンのケがあるボンクラな主人公と、それに輪をかけてボンクラな同居人。次第に町にゾンビがうろつくようになるのだが、ボンクラだから中々気付かない。気付いた時には町中うじゃうじゃ居る状態なのだが、「パブに篭城してビールでもあおって待ってれば、その内事態は収まるんじゃねぇの?」と、楽観思考で切り抜けようとする。
ゾンビ相手に鉄砲をバンバンぶっ放すアメリカと違い、ここは紳士の国イギリス。主にクリケットバット(図左)などの打撃系の武器を駆使して倒していきます。またゾンビに対して「ゾンビのフリしてれば意外とやり過ごせるのでは?」という、観てる人間なら誰でも抱く疑問を実践してくれたりします(図右)。

しかし、コメディ要素だけの一発芸ではなく、スプラッタ描写もしっかり撮ってるし、泣かせもある。カメラワークやカッティングも見事で、特に一日の始まりをワンカットで撮る場面は秀逸。これがデビュー作となる監督のエドガー・ライトは、本作を撮った繋がりで本家ジョージ・A・ロメロ監督の最新作『ランド・オブ・ザ・デッド』にも出演しています。
尚、オチは大槻ケンヂの小説『ステーシー』と殆ど同じでした。…これだと解る人にはネタバレになっちゃうのかな?