ブレイキング・ニュース 雑感

okmonster2006-09-27

OPタイトル→強盗団がアジトで逃走を画策→外には刑事達が張り込んでおり、様子を窺っている→犯人達が逃げようと車を動かしたところ、通りすがりの巡査に職質され一触即発→激しい銃撃戦→応援の警官が到着する→強盗団、近くで起きた交通事故現場に向かう途中の救急車を奪って逃走→犯人の一人が手榴弾を投擲→爆発
…この7分半に及ぶ一連の動きが、驚くべき事にワンカットで撮られている。無論その間、カメラも役者も縦横無尽にグリグリ動き回るし、車の窓は割れるし着弾だってする。NGなんか出したらその場で袋叩きにされかねない程の手間と時間をかけた逸品。このツカミだけで俺はすっかり心酔してしまいましたよ。このファーストショットを観ても何とも思わないヤツとは金輪際口をききたくないです。
さて、先の逃走劇を偶然TVカメラに収められ、大々的に報道されてしまった警察は、今回の事件の捜査から犯人逮捕までをマスコミに完全公開し市民の信頼を回復させようと画策する。あくまで信頼回復が目的なので、不利な映像は処理しちゃうし、必要ならば多少の情報操作を行いながら犯人達を追い詰めていく……。こう書くと70年代アクションによく見られた体制への批判やマスコミへの皮肉が込められているみたいだが、単純に善悪を入れ替えたりせず、(ジョニー・トゥ監督作品は大抵そうなのだが)「皆、善い奴だし悪い奴なんだよ」と登場人物全てを等身大の人間として均等に描いている。情報操作を行う警察然り、子供を置いて逃げようとする人質然り、義理に厚い強盗団のボス然り。
偶然居合わせた殺し屋と強盗と人質の親子が警察とマスコミに包囲されたマンションの一室で一緒に食卓を囲むシーンは何故だか知らんが妙に胸を打ちました。必見。
余談ですが、近所のレンタルショップではこの映画は「洋画カンフー」とジャンル分けされています。一つもあってません。香港のアクション映画つったら功夫しか連想できんのか?まぁ、『時計じかけのオレンジ』をラブロマンスの棚に配置してるようなトコだし。