ロリコンの犯罪者もココに入れられてました

okmonster2006-06-08

アテネ・フランセに『チチカット・フォーリーズ』を観に行く。映画祭などで単発上映されるぐらいでしかお目にかかれない非常にレアな作品でして、キネマ旬報のデータベースで検索をかけても「そんな映画は無ぇよ」と一蹴されます。よくそんなんで「日本最大の映画作品データベース」とか謳えるモンだ。
これはマサチューセッツ州にあるキチガイの犯罪者を収容する刑務所病院をドキュメントした作品なんですけど、公開後、そこで取り上げた患者の扱いが余り酷いので、「臭い物に蓋」理論で州が上映差し止めの仮処分*1を決定。以後20年以上に渡る裁判の末93年にようやく上映が認められたという、曰くつきの映画です。
何せ出てくる人間はキチガイか、キチガイ扱いされた犯罪者か、「精神病患者でしかも犯罪者なんて連中に人権なんていらねぇよ。」というスタンスを無自覚に持つ看守か、「取り合えずクスリの量増やせば治るんじゃねぇの?」という医者しかいないのだから、凄まじいドキュメンタリーになるのは必然です。
しかしだからといって、単に虐待が誇張されているワケではなく、カメラと被写体との距離の置き方が徹底されており、完全な受身。インタビューなんて野暮なマネもせず延々80分、矯正院の中を所在無くウロウロする。そんな感じ。なんだか遊園地のライドショーに似ていると思った。

*1:名目上は「出演者のプライバシーの問題」らしい。確かに顔にもチンコにもボカシすら入ってなかったけど。