ホテル・ルワンダ 雑感

どうやら先日の日記を読んで俺が本作を否定的に捉えてると思った人がいるようです。断言しますけどこれは良い映画ですよ。…ただ…、ただね、チョットばかりヌルいかなぁ…って思ってしまったり。

ええ、正直に言いますと、俺、観ていてずっと「あんだけマチェット持った人間がウロウロしてるのに、首とか腕とかちっとも切断されないのはどういうワケだ?」とか思ってましたよ。まぁ、PG-13つったらこんな描写で目一杯なんだろけど、本来ならショッキングに演出できる筈の“孤児院での殺戮”が全て赤十字の人の語りで済まされたりと、題材が題材だけになんか勿体無さを感じてしまう箇所がチラホラ。「やっぱ虐殺シーンはキチンと画にしてくれなきゃウソだろ?」と思う人でなしな自分がいたりします。これが『プライベート・ライアン』のスピルバーグ監督だったら、相当鬼畜な描写が期待できるんだがなぁ…。

けど、監督は本作を「虐殺の映画」ではなく、「虐殺の中を生きた人間の映画」として撮ったらしいので、「キミらがルワンダに無関心だった所為でこんなに沢山の人が死んじゃったんですよー」って観客を責めるのではなく、重圧や疲労ネクタイもロクに結べない状態まで追い込まれ、それでもホテルマンとしての威厳を保とうとする主人公を描くコトに重点を置いてるようです。そういったイミだと非常によく出来てます。心打たれました。ドン・チードルは良い役者ですよ。イヤ、マジで。

しかし狂気が狂気として描かれないコトがかえって怖かったりもします。「いくら殺したって流石に根絶やしは無理だろう」と至極真っ当な意見を述べる主人公に対して「何で?」って怪訝そうな顔をする民兵の人(写真左)とか。あと主人公がワイフと屋上でランデブーするんですが、外では銃声がひっきりなしに聞こえるし、近所の家とかが燃やされてる。そんな中で二人が出会った頃の話とかしてるってのはある意味マトモじゃねぇよなぁ。
それと、なんかジャン・レノっぽい人が出てきたなぁ。と、思ってたら本人でした。ノンクレジットらしいんで気付かなかった。