三つの船で大海原へ! 〜三船敏郎 海洋アドベンチャー特集〜

久々に浅草東宝のオールナイト上映に足を運びました。来年1月に閉館だと知り、ショックを隠せないでいる自分ですが、高々2〜3ヶ月に1度ぐらいしか通ってない分際で、閉館を嘆くというのは些かお門が違うのではないか?という気がしないでもないです。
『海賊船』『密輸船』『囚人船』『怒涛一万浬』というラインナップでして、三船敏郎主演で船が出てくる作品で纏めています(『密輸船』だけ毛色が違いますが)。今日観た中では『海賊船』が一番良い出来だったなぁ。海賊と子供達の友情って、物凄くベタベタな展開なのだが、正統故に堅実。特撮は円谷英二だし。
『密輸船』は珍作。麻薬の密輸船を追う刑事の話なんだが、テーマソングが貧弱で、どんなシーンでもエレキの「ベン、ベン」と、大変間の抜けたBGMが掛かる。この曲がスリリングな展開になっても流れるもんだから興を殺ぐ。これは完全にミスマッチだなぁ…とか思ったら、やや後味の悪いラストにもその曲がかかる。ここまでミスマッチだと逆にオチに一層妙味を与えている気がしないでもない。兎に角珍作。
『囚人船』は“昭和初期まで実在した洋上少年院”という設定が珍しかったが、他にコレといって観るトコは無かったな。囚人達の描写が弱いんで、イマイチ乗れなかった。
『怒涛一万浬』は全編スペインロケの作品。今ほど海外が身近では無かった時代の映画なので、本作の他にも同時進行で別に2作撮ってたんだと。今では考えられない制作ペース。
そう云えば、後半の二作は明らかにドラマよりも“荒海でのマグロ漁”にスポットが置かれていて、マグロの頭を槌で叩いてるシーンばかり出てましたね。もしかして邦画には「漁師モノ」ってジャンルが存在してるのかも。