ノロイ 雑感

観たヤツが口を揃えて「『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のパクリ」と、月並みな感想を述べているのを見てると、「それ以外に言うコトねぇのか?」って思ってしまう。何だか没個性的っつーか、そこに思い至った時点で思考が停止してるっつーか…。そんなのプライベートに仕舞っとけよ。どうして他所と同じ内容を態々手前のブログで書くのだろうかね?そんなだったら何も書かん方が無駄な時間やエネルギーを使わなくて済むと思うんだが…。
とまぁ、そんなヒネクレた思考回路の持ち主ですから、ウチでは昔買った『ブレア・ウィッチ〜』のパンフや文献、本作の紹介記事やインタビューなどを引っ張り出して、本作との比較を徹底することにした。
そもそも両者の徹底的な違いは、本作がすべて計算づくである点である。学生にカメラと演出メモとGPSだけを持たせ、即興劇で撮った『ブレア・ウィッチ〜』とは違い、本作は物語の道筋が結末までキチンと定められている。
もう一つはモデルケースの存在である。これが実際にあったとか無かったとかそういう低次元の話ではなく、「TV局にはホントに霊が映っているので未放送のまま封印された映像がある」といった噂や、毒電波から身を守る為に頭にアルミホイルを巻くステロタイプな電波系の存在は、誰もが一度は耳にする話の筈だ。こうしたアングラで語り継がれる都市伝説を演出として効果的に利用してるのも、本作の巧いトコだ。
また、即興で作られた故に細部のディティールが甘い「ブレアの魔女」に比べ(そもそもアメリカという土地柄で、この種の怪談話は限界がある)、土着信仰や民俗学に基づいて創作されたと思しき「かぐたば」の存在も工夫が凝らされ、よく練られていると思う。怖いモノや、不思議なモノに関心があり、それなりの知識を持っている者が観れば、安易に“パクり”と呼ぶのが憚られる出来栄えだ。
そんなワケで、“怖いモノを作ろう”という意気込みや完成度は明らかにコッチの方が高い筈なのに、不甲斐無い先例のアオリを喰らって不当な評価を受けている気がしてならなりません
唯一、一部のやりとりが芝居がかってしまっているのが弱点だ。クライマックスに向けて話を盛り上げようという気持があってか、微妙に全体から浮いているシーンがチラホラと見受けられる。あと、あれだけ深入りしながら撮影しているカメラマンが全く呪いを受けていないという矛盾も。…ま、この映画の一番の恐怖は「本当に怖いのは幽霊や呪いじゃなくて、生身のキチガイ」という部分に尽きるんだが。
最後に余談ですが、「観ると呪われる」というステキな惹句で宣伝している本作ですが、俺は観た次の日に懸賞で現金1万円が当たりました(実話)ノロイサイコー。