ノット・リーチド・デカセクシス

最近日記を書くネタに乏しいなぁ…とか思ってたら近しい身内に不幸があった。幾らネタが無いからとは云え、それをネタにブログを書いてしまう俺は相当の不敬者だが、一応、追悼の意は込めているので、悪しからず。
その身内とは俺の叔父にあたる人物で、近頃体調が悪くて病院で検査したら末期癌だったらしく、告知を受けてから間も無くポックリ逝ってしまったそうな。

死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)

死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)

エリザベス・キューブラ・ロスっつー女医の書いた『死ぬ瞬間-死とその過程について』って本は、病などで余命幾許も無いと診断された200人余の人間とインタビューし、その心理の変化を段階的に捉えた(当時としては)画期的な著書で、それによると末期患者の心理的段階の一般モデルは、衝撃→否認→怒り→取引→抑鬱→受容ときて最終的に“デカセクシス”へと到達するらしい。
これは日本語に直すと「涅槃」とか「解脱」といった単語に相当し、諦観・厭世とは違った意味で生への執着を捨てるコトを意味する。まぁ、“悟りの境地”ってのが一番俗っぽくて判り易い表現なんだろうな(あくまで一般モデルであって、“不治の病にかかれば漏れなく悟りが開ける”ってワケじゃないだろうけど)。
ウチの叔父は入院した直後に息を引取り、実際には病室より霊安室に居た時間の方が長かった。その死に顔はとても安らかだと聞いたが、生憎、叔父がその日の内にデカセクシスへ到達できたどうかを知る術を、俺は持っていない。