えびボクサー 雑感

えびボクサー [DVD]
・理由は何だかよくわかんねぇけど、でっかいエビが見つかったってんで、そいつにボクシングを仕込んで一攫千金を狙おうとする話。当初、エビの世話をしていたコーチは、「成功を掴む為なら恋愛なんぞクソ喰らえ!」と主張する勝利至上主義者だったが、巨大エビと昼夜を共にしている内に人を愛する心に目覚め始める。つまり、エビだってアニマルセラピーの対象になるぞ…という現代の精神医療に一石を投じるお話でした(違う)。
・“インパクトの強い邦題にアタリ無し”という格言がある。無いのならば俺が今作る。まぁ、他に売り様が無いから仕方ないんだろうけど、今年に入って全国で何千人の人間が『女子高生チェーンソー』や『チアリーダー忍者』をレンタルし、そして落胆した事か(ハズレだと解って観ても、それを下回る出来なのが凄い)。けれど、それでも借りてしまうのがゲテモノ好きの悲しき性なんだが…。
閑話休題。そんなタイトルのインパクト重視で中身がスカスカなビデオを大量にリリースして、B級好きの心を掴んでいる配給会社アルバトロスが冗談半分に買い付けたとしか思えない一品。更に『アメリ』がヒットした勢いで劇場公開まで漕ぎ付けている凄まじさ。さっきIMDbで調べたんだけど、この作品を劇場公開してるのは、日本とアメリカのごく一部だけなんだよ。イギリス制作なのに本国でも公開されていないんだよ、コレ。しかも劇中に出てくるのは海老じゃなくてシャコらしいんだよね。こういういい加減さがゲテモノ好きには愛しく思えるワケで…。
・でも、それだけいい加減な経緯で公開された映画なのに、中身は至ってフツーなんだよねぇ。何か80年代なら日曜洋画劇場あたりで流しそうな平凡さ(これが21世紀を迎えた後に制作された映画というのは置いといて)。“デカいエビがボクシングをする”というインパクトだけで一点突破しようとしていて、そこに必然性が無いっつーか。物凄くヘンテコなのを期待しといて、「お、結構マトモじゃん」ってのは褒め言葉じゃねぇよなぁ…。
・中身がヒドくてもダメだが、マトモでもダメ。世の好事家達がB級映画に求めるモノってのは、ホント匙加減が微妙だよな。