戦国野郎 雑感

・武田軍の追っ手から逃れる為、平民のフリをして馬借の一員になった抜け忍。その後、木下藤吉郎より種子島300廷の密輸を依頼されるが、行く手には様々な困難が待ち構えていた―――って、お話。
・「おいおい、フィルム飛んでるんじゃねぇの?途中から始まってるぜ?」って思ったほどに唐突な冒頭。主人公が19人目の刺客を斬り捨て、漸く題字がバーンと出る。「…ああ、ちゃんと最初から流してたんだ」と、安心すると同時に、そのスピーディーな流れに衝撃。毎度毎度こういうツカミの演出に驚かされてるなぁ…。
正直、『独立愚連隊』の時はあまりに万能なヒーロー過ぎて好きになれなかった佐藤允だが、今回演じていた木下藤吉郎はハマリ役。お調子者であり、策士でもあるタヌキっぷりが絶妙。劇中のセリフを引用すれば、大の虫を生かす為に小の虫を平気で殺すキャラクター。
そもそも本作は“立身出世の野心を持ち、それを実行させるならば手段なんぞ選んでいられない。”という話で、大概こういう話はシニカルな描き方をするんだが、監督自身それを否定せず。「ま、そーゆー生き方もいいんじゃねぇの?俺はゴメンだが。」というスタンスで描かれる。
そういや本作に限らず、今回上映された岡本喜八監督の時代劇では、(『助太刀屋助六』を除くと)必ず“出世や仕官といった権力・カッコ良さに憧れる平民”と、“その実態に嫌気の差した(元)侍”との対比が描かれていたなぁ。
一番笑わせて貰ったセリフ>「こりゃあ、えれぇ結果になりそうだ。」…詳しくは書かないが、そりゃ男にとってはえらい事だよなぁ。アレは。