VIOLET FIZZ


見てよキッタネー食い方、まさに食欲だね。
テーブルマナーや調理法はそれをごまかしてるだけ。
愛と恋を盾に正当化している性欲と良く似ている。       小路啓之 『イハーブの生活


先週親父から、「今年の誕生日で還暦を迎えた。豪勢に祝いたいので、立派なホテルのランチバイキングを予約した。だからオマエも来い。」と、言われました。
…そんなワケで高い運賃払って、ゆりかもめで台場までやって来た俺。別に何喰っても「旨い。美味い。」と言う人なので、昼飯如きに五千円もかける気になれません。が、それがロハで食えるってんなら話は別です。
やって来たレストランでは何故かプロジェクターで映像が流れており(よく見たらチョット前にやってたドキュメント映画『WATARIDORI』のDVDだった)、雄大に飛翔する野鳥や、愛くるしいペンギン等が大写しにされ、食事をしてる者の心を癒していました。しかし、俺的にもっと素敵だったのは、その直ぐ真横のトレイに盛られてた鳥の唐揚だったり。
しかし、結構格式高いホテルの筈なのにバイキングってなると品性の欠片も無いんだな。カーペットには踏ん付けられたプチトマト。食べる物の無くなった器が補充されないので係員に文句を言うオッサン。肉の前には長蛇の列が出来て、強欲なオバチャンが根こそぎ持っていく…。『WATARIDORI』なんかより、スマトラ地震で食料の支援を心待ちにしてる被災者の映像とか流したら、連中はもっと殊勝に飯を食ってたんじゃねぇか?って人でなしなコト考えてたり。でも、まぁ、ホント美味かったよ、肉とか。これに白いご飯があれば尚良かったんだけどね。キーマカレー用の米があったんだけど、干葡萄と一緒に炊いてやがる。ご飯に甘いモノを混ぜるんじゃねぇよ。謝れ!米に謝れ!
帰りはゆりかもめより、水上バスで浜松町から秋葉原に出た方が安上がりなコトに気付き、水上バスに初乗船。態々外に出て、クソ寒い潮風を受けながらブランキーのアルバムを聴いてました。傾きかけた太陽の下、レインボーブリッジを跨ぎ、空を見上げると雲一つ無い空高くに塵みたいに小さく映るカモメ。画的に映えるなぁ…。畜生、デジカメ持ってくれば良かった。