第3回「トンデモ映画会」改め 奇想天外シネマテーク3

okmonster2007-06-12

そして二本目の『幻の湖』。今回の上映会で一番観たかった映画だったが、これがまた凄い。
七人の侍』『羅生門』など黒澤作品の脚本に携わり、『私は貝になりたい』で監督としても高い評価を受けた橋本忍が、そのキャリアに自ら終止符を打ったともいえる大大大失敗作。噂には聞いてたがこれ程とは。
流石に金をかけてるだけあって、画は素晴らしいし、セットも本格的だし豪華。
しかし、過去・現在そして宇宙を舞台に交錯する壮大な物語は、詰め込み過ぎて破綻しており、やっと佳境かと思ったら次の展開が待ち受けるという無間地獄のような構成。盛り沢山な内容なのにお得感は皆無。一本の映画で4・5本ハシゴして観た様な疲労を味わえます*1
この映画を(監督の意図しない観点から)十二分に楽しみたいのであれば、まず一人で観てはいけない。そして真剣に観てもいけない(制作側は大真面目で作っただろうが、この映画を真面目に観てたら怒るわ)。最後にベストコンディションで臨んではいけない。
大勢の観客と共に、ツッコミドコロで遠慮なく失笑し、疲労で脳味噌がマトモな判断を下せない状況になった辺りからがこの映画の真骨頂。他の映画では味わえない他の客とのグルーヴ感を体験できるでしょう。
特にスペースシャトル発射シーンの挿入のタイミングなんか絶妙で、ここら辺になると皆正気じゃなくなってくるらしく、打ち上がった瞬間に場内から爆笑&拍手の嵐でした。
近年になってDVDがリリースされましたが、フツーに観たら別段面白くもねぇんだろうなぁ。

*1:まぁ、上映時間160分強だし