いかレスラー 雑感

いかレスラー [DVD]
録画したヤツを観賞。
脚本段階で『アメリ』の権利を買い付け、蓋を開けたら大当り。一躍ビルまで建てた元アルバトロスのバイヤー・叶井俊太郎が、今度は面白半分に『えびボクサー』を買い付けてみたら、これがゲテモノ好きにミドルヒット。そいで調子に乗ってオリジナルで制作したのが本作。…という位置づけで良いんだと思う。
要するに『アメリ』のヒットにより、誤解された芸風(?)を立て直す為、「俺、本来はこういうのが好きなんスよ。」とアピールする為だけに制作された様なモンなので、志が低いのは仕方が無い。
しかし河崎実監督はここ20年間、全く進歩してない気がする。旦那芸みたいな作風は相変わらずで、職人としての拘り云々よりも「好きだから撮ってる」という趣味の域を出ない万年インディーズ監督。「白根山にタコが現れた事もある」って特撮ファンにしか判らんネタとか出るし*1、文字通り徹底された「怪獣プロレス*2」を見せてくれるのだが、果たしてそれを褒めていいのやら.…。どうやら一般の人に見せようという気はこれっぽっちも無いみたいだ。あるイミ一貫していて素晴らしいけれどもね。
あと編集がブツ切りで物凄く下手糞なんだけど、これはオリジナルなのか?それともTV局側がカットしてるからかね?

*1:フランケンシュタイン対地底怪獣』のラスト、白根山で地底怪獣バラゴンを倒したフランケンシュタインが、突如登場した大蛸によって崖に落とされる。「タコを出すと海外にウケが良い」ってコトで追加されたシーンらしいが、諸説繽紛。余談だが映画『エド・ウッド』で、ハリボテのタコと格闘するシーンを強要されたマーティン・ランドー演ずるベラ・ルゴシが、「ワシはフランケンシュタインじゃない!」と怒鳴る場面があるが、タコと闘うフランケンシュタインが出てくるのは『〜対地底怪獣』だけ。流石オタクのティム・バートン

*2:低予算の特撮怪獣モノが濫作された第二次怪獣ブームの際に、オールドファンがそのチープな出来を揶揄する為に用いた言葉。恐らくショボいミニチュアの周りをボロい着ぐるみがジタバタしてる様からプロレスを想起させたのだろう。だが、「それがいいんじゃねぇか!」と力説する好事家がいるのも事実。本作は後者だな、きっと。