チーム・アメリカ 雑感

okmonster2005-08-04

・簡単な粗筋…要するにアメリカ版『愛國戰隊大日本』。
・「『チーム・アメリカ』は危険な映画だ」と言う人間がいる。それは逆説的に云うと、80年代に量産された勧善懲悪のアクション映画の殆どは、人物・団体を実存する名称に置き換えるだけで、みなヤバイ映画になるコトを意味する。
・確かに911以後「ビルに旅客機を突っ込ますなんてアイデアを思い付かせたのは、こうしたハリウッド産アクション映画の所為だ!」と叩かれ、テロリストを戦うジャンルの映画には自粛ムードが漂い、今まで無自覚だったアクション映画の影響を考慮し始め、内容に関しては次第にデリケートになっていった。
・そんな中、“凝り性だが不真面目なバカ(褒め言葉)”であるトレイ・パーカー、マット・ストーン両氏の制作した『チーム・アメリカ』は、(好きな映画を『メガ・フォース』と公言して憚らないだけあって)今では見かけるコトの少なくなった80年代アクションの流れを忠実に再現(例えばB級TVドラマみたいな台詞回しとか)し、且つ、上記の様な意見を吐くような人間の神経を逆撫でする悪趣味なギャグと下ネタを盛り込んだ人形劇という、他に類を見ない珍品に仕上がった。
・本作を人形劇にした理由については、基本的に「俳優に演技させるより楽だと思ったから」と答えているが、敢えて作品をチープにすることで、「ご覧通り、我々が作ってるのは物凄くクダラナイ代物なんです。こんなのに本気で怒るって大人気ないでしょ?」という挑発にも似た牽制を行っているのではないだろうか*1
・俺的には、そうした“わざとチープにした感”があざとく見えてしまい、面白さで言えば『サウスパーク劇場版』には及ばなかったんだけど、まぁ、コレは笑える笑えないは別として、こうした時期にこうした作品を出したコトの方を評価すべきなのかも知れないね。
・個人的に好きだったのは、カイロでテロリストが潜伏しているバーのシーン。だって、流れてる音楽とか、まんま『スター・ウォーズ』のジャバ・ザ・ハットの酒場を再現しているし。…こういうトコだけは凝り性なんだよな。

・更に言うと本作は僅か一年にも満たない制作期間で完成されたにも関わらず、特撮は物凄く充実していて、ミニチュアも非常に精巧*2だ。今の日本の特撮映画よりも遥かに特撮していて好感触です。ミニチュア好きなら行って損は無いかも。

*1:実際、本作で無残な最期を遂げた俳優陣はちゃんと冗談の通じる人間だったので、マジで怒ったりすることはなかった。ショーン・ペン以外は。(金総書記はどうか知らんが)

*2:最近はCGばっかなのでミニチュア作る職人があぶれていたのかも知れぬ。