新座頭市 破れ!唐人剣 雑感

新座頭市 破れ! 唐人剣 [DVD]
・折角なんで、こっちも紹介しちまおう。以前、手前のサイトで書いた感想を焼きなおしました。
・シリーズ23作目。つい4・5年前はビデオ化不可能とまで言われた本作ですが、北野版座頭市の公開と共にDVD化されてました。
・不可能だった理由は、権利の問題。香港のプロダクションと合作な為、当時から権利関係で色々とモメており、そんなこんなで、名画座でしか御目に掛れないカルトな映画になってました。ですが、そんな作品も御家庭で気軽に観れるようになりまして、これで益々映画館から離れてしまう今日此の頃。
カンフー映画全盛期。香港のアクション・スターであるジミー・ウォングの当たり役である「片腕ドラゴン」と、座頭市が激突するという内容ですが、制作会社の違う2大ヒーローが闘うというのは凄いコトでして、喩えるならガメラゴジラを闘わせるようなモノで、映画史においても稀だったりします。
・こうした異種格闘技みたいな夢の共演は誰もが夢想するものの、実際に描くとなると大変です。特に対決モノとなると、互いのファンの顔を立てなきゃなりませんから、『ゴジラキングコング』のように双方共倒れか、『座頭市と用心棒』のように決着をつけずにドローといった、煮え切らない結末しか用意できませんでした。本作の画期的なトコは、どちらも勝つようにオチを二種類用意した事です*1。まぁ、それによって利権が更に複雑になっちゃった気もしますけどね。
・特に勝新が負けるバージョンはレア度も高く、現在では幻の映画となってます(勿論DVD未収録)。さて、お話の方ですが、座頭市シリーズお決まりの“市が濡れ衣を着せられる”・“ゲスト芸人のコメディパート”といったパターンに加え、“言葉の壁は身を滅ぼす”という教訓(?)が新たに入っています。言葉の判らん者同士が交わすチグハグな会話は、コミュニケーションの大切さを十分に物語っています。
・とは言え、思った程アクションは鋭くなかったなぁ…。ジミー・ウォングだからもっとスピード感溢れるヤツを期待してたからなぁ。『子連れ狼』の時のような無茶苦茶さも無かったし。やっぱり、時代劇の殺陣とカンフーの殺陣ってのは違うかモンだからね。とにかく、映画の内容以上に、作品自体がスキャンダラスな映画でした。
・こうした予備知識を持って無かったら、そんなにありがたがらなかったかもね。

*1:近年の『フレディVSジェイソン』もその方式らしい