ゴミ分別の不明な物質③

引越しの準備の際に交わした弟との会話。


俺: なぁ、ちょっと訊くけど“防災頭巾”って“燃えるゴミ”なんだろうか?
弟: ちょっと訊く前にちょっと考えてみた方が良いと思うよ。“燃えないゴミ”に決まってるじゃん。
俺: イヤ、ちょっと考えると“燃えないゴミ”なんだが、じっくり考えると“燃えるゴミ”のような気がしないでもないんだ。
弟: ?
俺: 元来、“燃えないゴミ”と謂われるモノの殆どは、実際には高熱を浴びせれば気化するし、燃やせる。だけどそうしないのは焼却の際に炉を傷めるか、人体に有害なガスを発生させるからだ。だから燃やさない。そうした理屈から考えると、単に燃え難いという理由だけで、防災頭巾を“燃えないゴミ”と定義するのは安直ではないか?…と。
弟: …難燃性の繊維ってのは大抵、燃やすとダイオキシンとかが出るの。だから、さっきの「人体に有害なガスを発生させるから」って定義に十分合致してんの。だから、さっさと不燃ゴミの袋に入れちゃえばいいと思うよ。
俺: ってことはアレだな。火災の時は“燃えたら有毒ガスを発生させるモノ”を頭に乗せて、燃え盛る炎の中を潜り抜けるコトになるんだな。
弟: いいんだよ。防災頭巾が燃えてる頃には被っている人間なんてとっくに炭化してるから。
俺: あ、そうか。


判定: 燃えないゴミ