マシニスト 雑感(ややネタバレ)

罪の意識で眠れないのかい?
踊れ踊れ サルになってゴー!       筋肉少女帯 『俺の罪』より
…まぁ、大体、こんなカンジの映画でした(何だと)。
・精神的に不安定な人間の主観で物語が進行するとスクリーンに映される映像情報が殆どアテになりません。故に多少矛盾や破綻があったとしても、「まぁ、キチガイの視点だし、しょうがねぇか」と、ある程度納得できてしまうワケだ。そうした視覚的混乱が本作の面白い点でもあり、欠点でもあり。
・要するに意外なオチは全く用意されてないんですよ。冒頭で、懐中電灯を部屋に持ち込んでいることに気付いてしまった時点で…、というか、別段そこに気が付かなくても話が進むにつれ、どんどんヒントが提示されていくので、主人公の混乱を他所に観客はクライマックスに至る以前で、ある程度のカラクリが読めてしまう。だから狼狽する主人公を観ても誰も感情移入出来ない。彼が狂ってるって判ってしまうから。
・しかし、まぁ、意外な展開を見せないまでも、伏線となるキーワードをラストで一気に収斂させるトコは観ていて気持ち良かったかも。重要な伏線の一つである“どうして必ず左折を選ぶのか?”、そして“左折するとドコに着くのか?”が判明された時は、ちょっと鳥肌が立った。「うわ、ちゃんと計算づくだぁ。」って。…それでも“『セッション9』(*同監督の作品)の方が面白い”って評価を(劇場から出る際に)耳にしたので、今度比較してみようかなぁ。
・だが、話云々よりも、一番の見所だと思うのは役作りに体張ってるクリスチャン・ベールだろう。今度のバットマンで主役を務める彼が、4ヶ月絶食して骨皮筋衛門(死語)となった姿を観るだけでも、この映画の価値はあるんじゃないのか?と思う。