無理してクリエイティブな話を

 映画の批評をするコトで、創作意欲を沸かせるコトができるのかを随筆してみる。
 映画の鑑賞自体は、まず問題無いと思う、インスピレーションの刺激は、創作に重要な想像力を鍛えることができるからだ。だが批評は少し違う。
 昔読んだ蓮實重彦氏の本の中で、批評でやっちゃいけない事として“作品の感想を述べる”というのがある(これを厳格に定義すれば、殆どの批評サイトが失格の烙印を押されるが…)。「面白かった・詰まらなかった」という感想は即ち鑑賞者の心を通して脳に与えた主観的な印象であり、客観的な分析や評価が無ければ、それは批評とは呼べないのである。
 「他人の批評ばっかりやってると、自分の作品が作れなくなる」といった人がいた。特に同業者が他の作品を批判する場合がそうだ。ここが悪い、あそこが悪いなどと指摘している内に、「手前は偉そうなコト言ってるが、ならば彼等よりももっと面白い作品がつくれるのか?」という反論が出るからだ。そうなると、中々自分の作品を作れない。下手に駄作を撮って「ああ、アイツは所詮口だけのヤツだ。」なんて思われるのは致命的だ。今の井筒カントクとかそうなんじゃねぇの?彼の最新作である『ゲロッパ!』観てないからよく解らないけど。
 作品をロジカルに鑑賞することで、その映画を理解するのは容易だ。だが、そうした鑑賞が創造のコヤシになるかといえば、些か疑問が残る。
 餅は餅屋。批評は批評家に任せておくの一番なのか?