イグジステンズ 雑感

Gyaoでやってたんで観る。
SF映画で“仮想現実”を舞台にした作品ってのは、ある程度セオリーが決まっていまして、主人公が「今在る世界は本当に実在しているのか?」と疑問に思うコトと、実は[全て仮想現実でしたー]ってオチは絶対に入っていなくてはならない。だから、本作を観てて途中で結末が解ったからといって得意げになるのは止めた方がいいよ。オチがそうなるコト自体、本来なら映画が始まる前から推して知るべきなんだから
で、オチが限定されている以上、仮想現実をテーマにした作品に求めるべきは「主人公の葛藤」とか「衝撃のラスト」といったドラマ性なんかではなく、「仮想現実を描く際のヴィジュアル・センス」といった作家性のみだと俺は思っている。そんなワケで本作は、デビッド・クローネンバーグ監督の描き出すグロテスクな仮想現実を、ゲップが出る程見せ付けられる(一部の方にのみ)傑作となっております。

…実際に監督がゲームを作ったら"ベルトコンベアに流れる畸形の魚を腑分けするミニゲーム"とか延々とやらされる『バイトヘル2000』みたいなのになるぜ、きっと。
あと、町山智浩氏の著した『ブレードランナーの未来世紀』からの孫引きで恐縮だが、クローネンバーグ監督は『ビデオドローム』についてのインタビューで次のように語っている。

「私たちは生殖と無関係にセックスをしている、こんなことは人類始まって以来だ。その一方で人類は遺伝子工学によって、適者生存という進化の法則を離れて自分で自分を進化させられる段階に達した。ならば、セックスのための新しい器官を作ったらどうか。ただの快楽のため。いや、いっそ中枢神経に直接接続したらどうだ?体に開けたポートを使って?」


…このコンセプトがまんま『イグジステンズ』に登場するゲーム機の基本となっている。要するにやってることは『ビデオドローム』と小差も無いってコトなのだが、現在「超力兵団」をサルみたいにプレイしてる俺にとっては「ゲーム=快楽」ってのは痛いほど解るわ。