日本のいちばん長い名

以前観た「日本のいちばん長い日」の雑感でも書こうかと思ったが、散々語り尽くされている名作なので、自分なりの視点や論点の入る余地が無く、なかなか筆が進まない。そんなワケで、どうでもいい話でお茶を濁そうと思う。
落語「寿限無」のベースとなった(或いは逆か?)昔話がある。幼稚園の頃、昔話の朗読カセット*1で聴いた話で、最初に生まれた子に「いい」という名前を付けたらスグに死んでしまい、通りがかりの坊さんが「もっと長い名前にすりゃ長生き出来た」っつーから、次に生まれた子に無茶苦茶長い名前(どんな名前だったかは失念)をつけたら、その子が川で溺れてしまい、事の次第を聞きつける内に溺死してしまったという。一刻を争う大事だというのに、律儀に名前をフルに連呼してるのはマヌケだ。(親しけりゃ愛称で呼ぶだろうし)
そして、この物語の最後はこう締められている。
「次に生まれてきた子には、長くも短くも無い普通の長さの名前をつけましたとさ。」
このオチに対し、昔は、「ふーん」程度の感想しか漏らさなかったが、今考えると、これ程子供の命が軽視されている昔話も珍しいんじゃないだろうか?だって、こんなどうでもいい結論を出す間に二人死んでんだぜ?例え作り話だとしても、長い名前をつけた位で死んだってのはなぁ…。死因が“溺死”ってのも何だかエグいし。更に、読み様によっては「死んでしまったのはしょうがねぇ。次に産む子は気をつけよう」という、現代人にありえないポジティブ感覚が垣間見える*2
まぁ、働き手が欲しいのに、子供の生存率が低かった頃は、数撃ちゃ当たる的にバンバン産んでバンバン死んでったワケだから、子供が死ぬのは悲しいコトだが、それでも「想定範囲」っつーか、軽い部類の不幸に収まってしまうんだろうか。
そう考えると、あらゆるメディアで子供が殺される描写がどんどん自粛されていくのは、子供が死ぬ事が殆どなくなったから…ってのも一因なのかね?些細な事で死ぬ事もあるんだぜ。って教育の方が大事だと思うけどな。
因みに実際に日本で一番長い名前をググったら、「野田江川富士一二三四五左衛門助太郎」と出ました。振り仮名が無いのでよく判らんが、ミドルネームが入ってると解釈して“のだえがわふじ ひふみしござえもん すけたろう”って読みでよいのかね?

*1:コサキンで話題になった、加藤剛が海からやってきてナレーションするヤツ

*2:…単に喪に服した場面を省略しただけでは?