屋根裏の散歩者 雑感

屋根裏の散歩者〈完全版〉 [DVD]
・「ジッソー君何やってるの?」「…散歩」というセリフで、ごく一部の人間に御馴染みの映画(嘘)。まぁ、この頃は生誕百年とかで江戸川乱歩のブームだったみたいだし(*…『RAMPO』とかって憶えてる?)。
・本作の実相寺昭雄監督と言えば特撮オタの試金石みたいな人物でして、“メトロン星人ジャミラの回を撮った人”と言えば一般人にも通じるんだろうか?…イヤ、無理か。とにかくクセのあるカメラワークを連発する作風なので、好き嫌いはあるでしょうね。
・それにしても微妙に斜めに傾いたカメラワークなんかは『バトルフィールド・アース』と同じ筈なのに、それ程不快感が無く、寧ろ「アートしてるなぁ。」って思えるのは何ででしょうね?
・原作読んだこと無いけど、こんなにエロいのか?って思う位にエロ全開。R指定と成人指定の2バージョンが公開されたみたいだが(俺が観たのはR指定版)、パトロンであるTBSもまさかこんなピンクな映画になるとは思ってなかったんじゃねぇの?
・この作品は犯人を原作者である江戸川乱歩の分身として描いている。犯人が押入れを寝床にして生活してるってのは、江戸川乱歩の私生活そのものだし、彼自身も相当の厭人家だったみたいだし、何より大した動機も持たずに「完全犯罪を思いついたから、やってみた。」という姿勢は作者の「完全犯罪を思いついたから、小説にした。」ってのと大差無い。犯罪小説を書くってコトは、常に人を殺す方法を考えるってのと同義だからだ。
・こうしたインモラルな思想に対して、本来はそこに探偵を登場させて犯人を告発し“裁く”という良心を描く事によって物語たり得るものだが、本作にはそれが無い。探偵も犯罪者と同類項として描写され、犯人と一緒になって天井裏から変態を覗いてニヤニヤする。うわぁ…。ここまで原作者のダークサイドを強調させた作品とは思わなかった。ってか、原作もそうなのか?